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デポ型アドナ(AC-17)30mg 2ccの耳鼻咽喉科の臨床
小倉 脩二
1
,
岩田 卓
1
,
永沢 篤久
1
,
佐藤 喜一
1
,
横川 弘蔵
1
1日本赤十字社中央病院耳鼻咽喉科
pp.259-266
発行日 1961年3月20日
Published Date 1961/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492202641
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I.緒言
耳鼻咽喉科領域に於ける出血の問題は,その部位が,解剖学的特殊性のため,種々研究され数多くの報告がある。中でも白岩教授は,第60回総会に於て,鼻腔,咽頭領域の解剖学的,病態生理学的研究を行い,出血の起る原因と出血時の凝固因子,血管因子を追求し,また出血に対処する方法や,或る薬剤についての止血機序の研究を行つた貴重な宿題報告を発表した。
しかし我々は外来或いは手術で,出血に対処する際,結紮,縫合が甚だ困難か,或いは不可能な症例を,しばしば経験する。このような場合,止血の目的で局所タンポンが先ず実施されるが,同時に全身的に作用する強力な止血剤が要求されてくる。その目的のため,今日迄,多数の止血剤が試作されてきたが,Epirenamina(Adrenaline)[3・4-Dihydroxy(1-hydroxy-2-methylam inoethyl)benzene]の酸化体であるAdrenochrome(1-methyl-3-hydroxy-2,3,5,6-tetrahydro-5,6-dioxoindole)も,その一つであり,特に毛細血管の抵抗を増大せしめ,著明な止血作用があることが,既にDerouaux(1937)により研究され,広く臨床に応用されてきた。そしてAdrenoehromeの誘導体として,水に易溶性のSodium-1-methyl-2,3,5,6-tetrahydro-5-Semicarbazono-6-oxoindole-3-Sulfonate,[Adona(AC-17)]は既に広く用いられ,その臨床成績については多数報告されている。
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