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耳鼻咽喉科領域,主として扁摘後疼痛に対するイルコジン坐薬の使用経験
大沢 林之助
1
,
中村 正彌
1
,
宮野 孝治
1
,
斎藤 愛彦
1
1東京逓信病院耳鼻咽喉科
pp.670-673
発行日 1958年8月20日
Published Date 1958/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492202072
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まえがき
扁桃摘出術後の疼痛に対しては比較的関心が薄かつたためか各種鎮痛剤の内服或はアネステジンの局所撒布等が行われていたに過ぎず,極めて不充分な鎮痛効果しか期待出来なかつた。最近数年来術後の疼痛緩解の問題が注目されるようになりビタミンB1,持続性局所麻酔剤,クロールプロマジン等が使用されるに至つた。
元来扁摘後の疼痛は,手術法の如何による場合もあるとはいえ,個人差が強いもので殆んど疼痛を訴えない症例から数日間に亘つて激しい嚥下痛のため流動食も満足に摂取出来ない症例に至る迄種々様々であるが,平均して相当強い疼痛が1〜2日続く場台が普通のようである。手術は一般に外来で行われるため麻薬の使用は不適当で,而も嚥下障碍があるから内服は不利である。従つてこれに代る程の比較的強力の鎮痛作用を有し,効果持続が長く且つ副作用が無く,家庭でも使用出来る薬剤が望ましい。
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