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先天性外耳道閉鎖症の聴力改善手術について
鈴木 安恒
1
,
岩井 宏方
1
,
早崎 弘晃
1
1慶応義塾大学医学部耳鼻咽喉科学教室
pp.535-541
発行日 1960年7月20日
Published Date 1960/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492202480
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I.はしがき
先天性外耳道閉鎖症は比較的稀な疾患である。1951年より1959年に至る9力年間に慶大耳鼻科外来を訪れた患者は53,208名で,そのうち本症患者は91例で,全外来患者の0.17%となる。又,一般住民中の頻度は更に少く,静岡県下の数ヵ所では1,084,827名中13例,0.0012%であり,東京都内小・中学校生307,024名中7例0.0020%にすぎない。
本症に対する手術は1883年Kiesselbachにょつて初めて行われ,その後DeanおよびGittens5)(1917),Pattee18),Ombrédanne16)(1947),Vogel26)(1949),Siirala25)(1949),De GraafWoodman6)(1952),Shambaugh8)(1952)およびMeurman28)(1957)等の報告がみられる。我国においては,1893年金杉によつて早くも試みられたが最近に至つて,末光20)(1950),阿部1)(1952),西端,鈴木15)(1954),藤崎7)(1955),浅井2)(1957),石井11)(1957)および高原22)(1958)等多数の報告が見られる。
さて,我々は1951年より現在に至る迄本症患者23例24側に対して聴力改善手術を行い比較的良好な結果を得たので術前・術後の聴力,手術法,および手術所見等を中心に報告し諸賢の御批判を仰ぐ次第である。
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