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我々が表題に記した副鼻腔癌とは副鼻腔中最も癌腫発生の頻度の多い上顎を中心とした。現在に於ては通常「上顎癌」と言われて居るものを対称として居るのである。所謂上顎癌は上顎洞から発生したものでも,更に篩骨洞,蝶形洞,時に又,前頭洞等全副鼻腔に浸潤すると共に鼻腔,眼窩,頭蓋底,口蓋,咽頭等に向つて進行して居る事が往たにしてある為,其の手術的療法も全副鼻腔に及び更に其の他の浸潤部位に向つて押し進まねばならない事は,当然であろう。私共は現在,通常用いられて居る上顎癌なる言葉が,実際の本症の状態を表わすのにいささか不満足な点があると思われるので敢て副鼻腔癌と称したのである。1957年4月第39回日本耳鼻咽喉科学会に於ける浅井助教授の宿題報告に於ける表題も「上顎及び其の付近の悪性腫瘍」となつて居るが,同助教授も恐らく単に上顎癌と称する事に飽きたらず,斯る表題にされたものと解釈したい。我々は耳鼻科医の立場からして,此の癌腫に対して「副鼻腔癌」或は「副鼻腔を中心とした癌腫」と呼称し度いと思う。本疾患は上顎洞を中心とし篩骨洞,蝶形洞に浸潤して居る場合に比し,前頭洞に癌性変化を来たす場合は,僅少ではあるが此の癌の手術に当つては癌再発の予防,創面治癒の点から殆ど総ての場合,前頭洞を含めて全副鼻腔の清掃を行なわねばならない事を考えると,むしろ現在用いられて居る上顎癌なる名称よりも副鼻腔癌腫と称した方がより実際的であると考えられるのである。さて本論文中に記載し度いと考えるのは副鼻腔癌の手術に就て,現在私共が行つて居る2〜3の点であるが,私共は本症の手術を現在迄全例局麻にて行つて居る事を諒承され度い。
In surgical treament of maxillary sinus car-cinoma. Hishiyama and associates state that it is no longer necessary to preform ligation of the external carotid if when hexametho-nium might be used for establishing tempora-ry low-blood-pressure. In addition to Hoshino's method of operation the authors add an exten-ded incision in to the eye-brow. They empha-size the necessity of removal of the eye ball consistently on tne involved side.
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