--------------------
鼾の手術的療法
林 義雄
1
1東京診療所
pp.391-393
発行日 1957年5月20日
Published Date 1957/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492201773
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
辞書を見ると,鼾は「息吹くなり」とあるが,単に息を吹く時だけでなく息を吸う時のもあるし,息の往復共に音を出すのもある。鼻から咽頭を経て声門に至る呼吸の通路が狭められる時に起る摩擦音と思えば差支えない。イギリスの百科辞典には「健康体では口をあけて眠る時,口から入る空気と鼻から入る空気が咽に垂れ下つた口蓋垂とこれに連続する軟口蓋の一部を振動させることによつて起る呼吸音である」と述べてある。また病的には子供のアデノイド,鼻の病気,脳出血や脳神経系統の病気の時に起るし,手術前の全身麻酔で大きな鼾をかく人がある。
鼾をかくような人は寝つきも早く,時には自分の鼾で目を覚ますこともあるが,大低は本人には分らない。黙し,これが周囲に及ぼす影響は大きい。他人のことなど無関心といつた心臓の強い男性もあるが,なかには他人に遠慮して汽車の寝台にも乗れないとか,友人と一緒の旅行にも出られないと訴える人もある。女性の場合は更に深刻な問題であることは周知の事実である。
Copyright © 1957, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.