特集 耳鼻咽喉科・頭頸部外科の機能検査―何がどこまでわかるか―
X.鼾検査
貞岡 達也
1
1貞岡耳鼻咽喉科クリニック
pp.211-220
発行日 2003年4月30日
Published Date 2003/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411100997
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I.はじめに
鼾はこれまで熟睡のシンボルとして考えられがちであったが,近年になり鼾をかく人達の中には呼吸が抑制される低換気,低呼吸や呼吸が停止する無呼吸をもつものがいることがわかってきた。睡眠中の呼吸障害が軽ければよいが,これが頻繁に起こったり,1回の呼吸障害の持続時間が長かったりすると身体に悪い影響が出てくる。特に精神神経系や循環器系に深刻な影響が出てきて,場合によっては突然死をきたすこともある。
宇宙開発史上最悪の惨事といわれているスペースシャトルチャレンジャーの爆発事故やアメリカ原発事故最悪といわれるスリーマイル島原発事故も睡眠時呼吸障害による居眠りや作業ミスで発生したともいわれている。患者自身への悪影響だけでは済まず他人を巻き込む事故,日常的には交通事故など社会問題化してきている。
ここにきて鼾は睡眠時にのみ起こる異常呼吸音1)と定義されるようになり,鼾が低換気や無呼吸を伴う睡眠時呼吸障害の頻発する重要なサインとしてみなされるようになってきた。このような理由から病的な鼾であるかどうかを慎重に調べる必要性が出てきた。
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