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緒言
小児の聴力検査は耳鼻科医が日常当面する困難な問題の代表的なものであつて,今迄に内外に於て発表されて来た方法が実に多く,多種多様であることがそれを物語つている。例えば聴力瞳孔反射の利用,Froeschelsの音刺激による瞬き,即ち眼筋反射の利用,脳波の応用,P. G. S. R.-Aūdiometry,Play-Aūdiometry等がその主なものである。これ等は何れも一長一短があつて,結局現在では小児の聴力検査はこれ等の方法による検査成績を綜合判断して,小児の聴力閾値を推測するより他ないようである。併し,近来ストレレプトマイシン使用によつて,小児に対しても正確に聴力検査を行うことが出来る適当な方法を考案することがどうしても必要となつた。我々も昨年来その様な方法を考え出すことに努力し,先づ試みにP. G. S. R.-Aūdiometryを実施して,その成績を検討したところが,さきに耳鼻咽喉科28巻,3号に於て発表したように,P. G. S. R.-Aūdiometryは残聴の程度を推測することが出来るだけで,応用範囲の狭い欠点がある。そこで我々はこの方法以外にPlay-Aūdiometryの一つを適宜実施してその成績を閾値推定の参考資料とした。
Play-Aūdiometryとして今迄に発表されたものには,Card pictūre test(Blommer),Traintūnnel test(Ewing),音の聞えた時にスいツチを押せば,人形のとび出る様な仕掛になつているGūidfordの方法,或は2・3の玩具を組合せたB. Baarの方法等があるが,これ等は何れも子供の興昧を長時間ひきつけておくには変化が乏しく又Baarの玩具に至つては幼少の子供にとつてかなり難しいと思われるので,我々はDix,HallpikeのPeen show testの変法を考案して用いた。
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