- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
音伝導系疾患には多くの障碍因子があるので,聴器に対する聴力恢復手術によつて得られた成績は充分な注意の下に検討されなければならない。これによつて種々の手術方法が成る可く早くその価値を判断されることになるのである。
即ち本手術の目的が炎症の消失と聴力恢復とにあるからには,その結果が如何であるかは重大な問題である。私の材料はそれ程多数ではないが或る程度の結論は得られるとは云いながら,手術方法を再三改変して来ているのであり,現在行つている手術方法を用いてからは2年に達しない。而して決定的の結論は数年後でないと下せないし,その時になつて始めて原疾患完全に治癒したか否か,又本手術の中耳形成がその目的を達せられたか否かが決定されるのである。然しながら4年前に手術した症例に於て1年間は聴力次第に恢復し,2年に於ても更に少しく恢復するものがあるが,多くは1年間に於て聴力恢復し,その後は変動がない。この事からして比較的今日の手術法に近い方法を行つた昭和29年度のものについて1年後の手術成績を検討して見ることは,手術方法並にその適応の批判に極めて重要であり,且つ又その成績は大体に於て遠隔成績に近いものであるので,手術の成績として纒めて見たのである。
Goto and Itakura make a summary report of follow-up observations in 91 cases in whomthey performed middle plastic operations in. the years 1954-55. Seventy six of these cases-are beyond 1 year postoperative and the re-maining ones about 6 months. Four cases of the group operated in 1954 failed to recovery from infection of the middle ear; 1 case from 1955 resulted likewise. In 1954 group, 59 cases showed improvement of hearing; 19 cases no- change; 2 cases, worse. In 1955 group, 72 ca-ses showed improvement of hearing; 18 cases, no change; 1 case, worsened. Factors causing no change and worsening of hearing are discu-ssed; improvement in speech-hearing among, all cases is presented by graphic curves.
Copyright © 1957, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.