特集 副鼻腔炎の病理と治療
副鼻腔炎と細菌
大沢 林之助
1
,
中村 正彌
1
1東京逓信病院耳鼻咽喉科
pp.849-858
発行日 1956年12月25日
Published Date 1956/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492201684
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急性副鼻腔炎と細菌との関係は,慢性副鼻腔炎と細菌との関係に比較すれば,原因的関係が明瞭である様に思われる。即ち急性副鼻腔炎は,細菌に起因する急性炎症として惹起されるものが多く,検出される細菌は主としてグラム陽性菌であり,化学療法剤を以て細菌の発育を抑制し或は殺菌する事に依り炎症を消退せしめ治癒せしめ得るのが通常である。
慢性副鼻腔炎の際検出される細菌の種類等に関しては枚挙に暇のない程,古くから多数の研究が報告されており,余す所が無い様に思われるが,此等の細菌と慢性副鼻腔炎とが如何なる間係にあり且つ此等の細菌が慢性副鼻腔炎の成立にどれ程の意義を有するかという事に関しては未だ数多くの問題が残されている現況である。従つて今回私達は問題を慢性副鼻腔炎に限局し,現在迄発表せられた研究報告に基いて副鼻腔炎と細菌との関係に就て出来るだけ多くの角度から検討してみた。
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