特集 副鼻腔炎の病理と治療
生化学より見た慢性副鼻腔炎
松田 豪一
1
1名古屋市立大学
pp.841-848
発行日 1956年12月25日
Published Date 1956/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492201683
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まえがき
果樹の栽培には苗の撰択とともにその地味の吟味が大切であると言わるゝ如く,本症の発症を論ずるに当つては,その個体の体液環境の様相を局所的にも将又全身的にも追及することが当然必要になつてくる。こゝに惹起された体液環境の変動は,自律神経系,内分泌系または網状織内皮細胞系と密接な関係にあり,殊に後者とは,しばしばcirculus vitiosusなる因果関係を保ち,いつしか疾患の慢性化を招く場合がありうると考えらるる。又最近本症の成因の一つとして,アレルギー性変化が示摘されているが,この変化も畢竟するに体液環境の支配をうけるものとすれば,尚更ら生化学の立場からも本症を観察することは無駄ではない。
私は高須助教授並に教室員の協力のもとに此等の見地より臨床的に又動物実験的に研究を続け,一部は既に報告したので,この小文に於ては極めて慨括的にその一部の内容を紹介し多少の考察を試みたい。
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