特集 耳鼻咽喉科診療の進歩
鼻中隔櫛或は棘の手術法並に之等が殘存せられている場合の再手術法に就て
久保 隆一
1
1九州大学医学部耳鼻咽喉科学教室
pp.697-704
発行日 1954年12月15日
Published Date 1954/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492201243
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緒言
鼻中隔彎曲症(櫛及び棘を含む)の矯正手術は耳鼻咽喉科医に依り日常最も多く行われる手術の一であるが,其手術手技は可なりデリケートなものであつて初心者にとつてその技術の習得は予想以上に困難ではないかと考える。殊に櫛或は棘が存在する場合切開創以外に全く粘膜を損傷することなく之等を除去するには可なりの熟練を要する。
鼻中隔彎曲症の手術に就ては多くの手術書にも可なり詳しい記載もあり,最近は高橋助教授,後藤(敏)教授の手術に関する報告を見るが,櫛或は棘の除去法に就ては何か隔靴掻痒の感がし.何かもつと具体的な詳細な記載が欲しいと思うのは著者のみではないと思う。それは術後の患者を見て櫛,棘の残存に加うるにその上方にかなり大きな穿孔をさえ生じているのを往々にして目撃するからである。
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