心の行脚・13
「義命の存するところ」—終戦記念日に思う
井口 潔
pp.1266-1267
発行日 1990年10月20日
Published Date 1990/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407900201
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45年目の終戦記念日がきた.あのときも実に蒸し暑い日であった.当時,私は学徒出陣の陸軍見習士官で,たまたま代用血液製造の用務で久留米にいた.玉音放送をきいたのは柳川のある酒屋さんだった.ひどい雑音の中で,辛うじて聞き分けられる天皇の悲痛な肉声をたしかに聴いた.昨日のことのように鮮やかに思い出される.
最近,小堀桂一郎氏の「宰相鈴木貫太郎」を読んだ.ポツダム宣言を日本が受諾する経緯が冷静な眼で記述されており,終戦を軍隊で迎えた私にとっては感銘深いものであった.
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