Japanese
English
特集 偶發症との救急處置
開腹術後偶発症及び之が対策に就て
On the complication after laparotomy and on its countermeasure
継 泰夫
1
Yasuo TSUGU
1
1国立千葉病院外科
1The Department of Surgery, Chiba National Hospital
pp.889-894
発行日 1955年11月20日
Published Date 1955/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407201715
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緒言
厳密な意味で,次に列挙する色々な術後障碍を無雑作に,偶発症の範疇に入れることについては,いささか逡巡を覚えるものである.少くとも術中,術後の患者に対する処置及び管理に万全が期せられたならば恐らく起らなかつたであろう或種の術後障碍にまで全て偶発症の名を冠することに対しては,大方の異論があると思われるからである.偶発症はあくまで不慮のAccidentであり,Zufallであるべきであり,明瞭な原因により起るべくして起つた偶発事と云うものはないからである.然し私は敢て偶発症の意味を広く解釈し,術後障碍夫自体の発生が偶発的であるものだけに限らないで,術後障碍の,よつてもつて起る原因の一半が,術中,術後の処置或は管理の不徹底にあつたとしても,かかる原因による障碍まそう度々頻発するものではないと云う意味でそれらをも全て偶発症として一括し,その発症の機転,病状,及びその対策等に就て検討を加えたいと思う.そうすることによつて,かかる術後の不愉快な障碍の一つでも少なくしたいための自戒の一助ともなればと念ずるに他ならないからである.
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