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Ⅰ.緒言
本症は1917年S. Kaufmannにより初めて報告せられてより,巳に欧米及び本邦に於いても数多く発表され,本邦文献のみにても昭和14年以後29年迄に其の数は66例に及んでいる。しかし其の発生原因は未だに不明にして,且つ其の治療方針も定まらぬ状態である。其の為,現在尚本症に就ては一定の,定つた病名がなく,それぞれ発表する人々によつて異つた病名が附けられ,欧米ではGranuloma gangraeneses(クラウス,スチユアート,スツルム,フオス,クノツプ,モーリツツ),Malignes Granulom,又「原因不明の顔面壊疽」(ヘンニング,ウィルト)として名附けられており,本邦では,壊疸性肉芽腫(俣野,藤田,鍵富)。原因不明の顔面壊疽(福武)。馬鼻疸類似症(大藤,山川)。進行性壊疽性鼻炎(遠山,中川,倉田,伊集院,村上,水野,武内,佐藤,吉川,大島,松井,岩田,浅野,菊地,所,浜野,藤田,落合,本間)。慢性進行性鼻壊疽(橋本,大久保)。高熱進行壊疽性鼻潰瘍(本間)。特発性鼻壊疽(田中,宮崎,橋本,金原)。進行性壊疸性潰瘍と弛張熱とを呈する鼻腔肉腫(立木)。悪性進行性壊澄性鼻炎(深町,恒松)。特発性壊疽性鼻炎(大石,土佐林)。又単に壊疽性鼻炎(西山,三浦,西端,河村,伊藤)。特発性鼻腔壊疽(伊藤,吉田)。原因不明難治の潰瘍性鼻炎(本多)。進行性壊疽性肉芽腫(磯野)。鼻腔壊疸性炎(小山)。鼻部進行性潰瘍(宮原,遠山)。鼻部進行性壊疽(北川,水野。等色々に名附けられて発表されているが,進行性壊疽性鼻炎なる名称が一番多く用いられ適当ではないかと思う。この謎の疾病として知られている本症に就いて以下順を追つて述べて行こうと思う。
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