--------------------
所謂慢性中耳炎のシュテンヴェルス氏法レ線像に就て
高畑 延臣
1
1横濱鏡友會仁保耳鼻咽喉科
pp.437-453
発行日 1953年9月20日
Published Date 1953/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492200965
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
西暦1895年ドイツの物理學者Wilhelm Konrad Röntgenに依りX線が發見されて以來,夫の醫學上に於ける應用は今日に至る間に非常なる進歩發達を遂げ,現在に於けるが如く診斷上並に治療上に多々使用されるに至つた。耳科領域に於てはX線發見の翌1896年にはScheier,Brühlに依り側頭骨のレ線撮影が初めてなされ,更に其の後Politzer,Grossard,Henle u. Hinsberg,Schüller,Voss,Kühne u. Plagemann,Lange,Busdh,SonnenKalb,Staunig,Stenvers,E. G. Mayer,義江の諸氏に依り,レントゲン装置の進歩改良と相俟つて種々なる撮影法が案出發表せられ,夫の臨床的應用は次第に盛んになつて來た。其の結果側頭骨の病的レ線像,特に急性中耳炎,急性乳樣突起炎に就ては屡々報告されているが,所謂慢性中耳炎のレ線像,就中シユテンヴエルス氏法に依るレ線像に就ては從來殆んど等閑に附されていたと謂つても過言ではあるまい。
飜つてStenvers氏法に就て見るに,本法は1919年Stenversに依り發表せられた。當時の記載を茲に再録して見よう。即ち,頭部長軸を水平にし,次に頭部を下げて鼻頣線と水平面との爲す角度を10度ならしめ,頭を長軸に對し45度撮影側に廻轉す。此の位置に於て頭部を固定し,レ線管軸を垂直面と12度の角度を爲す如くに足方に傾斜せしむ。中心線は乳樣突起より2〜3cm鼻側に向わしむと。
Copyright © 1953, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.