臨床實驗
所謂高安氏病に就て
鈴木 宜民
1
1千葉大學眼科
pp.732-735
発行日 1951年11月15日
Published Date 1951/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410200987
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緒言
高安氏が明治41年(1908)「奇異なる網膜中心血管の變化の1例」として報告されたのを嚆矢として,大正10年(1921)中島教授が系統的に記載されて以來網膜動静脈の特異な吻合を示し全身的には橈骨動脈の脈搏を觸れる事の出來ない奇異なる疾患に就ては,近年症例を重ねる毎に漸く其の全貌が明らかにされつつある樣である。殊に淸水氏等の検索は其の本態究明に格段の前進をもたらしたもので其の解決される日も近いと思われる。然しBuerger氏病との關係に就ては尚不明の點が残されておる樣である。私は先頃教室所藏の眼病圖譜整理中特異なる網膜血管の吻合を有する1例を見出し當時單にHaemoangiomatssisretinalとして記載されていたものであるが,其の病歴を検討して見るに明らかに其れは所謂高安氏病(是く呼ぶ理由に就ては後述する)である事を確認する事が出來た。而して其の記録を調査中に偶然にも更に本症の1例を見る機會に惠まれた。依つて此處に2例に就て追加報告しておき度いと思う。而して第1例は既に10餘年前の症例で残された病歴から得た所見であり,第2例は當市國立千葉病院に入院中の患者であり詳細なる點に就ての報告の出來ない事は遺憾とする處であるが,中に1,2特異なる所見もあり本症の本態に尚不明の點の有る現在,茲に追加發表して後日の參考に供したいと思う。
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