論説
耳性外旋神經麻痺に就て
古屋 光信
1
1東京醫學專門學校耳鼻咽喉科教室
pp.33-35
発行日 1946年11月20日
Published Date 1946/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492200006
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耳性外旋神經麻痺は1904年グラデニゴーが自己の經驗せる6症例及び文獻に記載されたる症例に基き本疾患に關する綜合的觀察を遂げ,所謂グラデニゴー氏症候群を唱へて以來幾多の同樣なる報告あり。而もその原因發生機轉に關しては反射説・中毒説・腦膜炎説等あり。今日最も信ぜらるゝ解剖説すなはち岩樣骨錐體尖端部の限局性腦膜炎によるとの説明もその發生經路に關しての説明には至らず。余は最近急性乳樣突起炎手術後の經過中に耳性外旋神經麻痺を起し,同時に同側の羞明竝に頸部交感神經麻痺就中完全なるホルネル氏症候群を具備せる1例に遭遇し,その合併症の極めて興味深きを覺え,未だこれに關する症例の少きを知りたるを以て茲に臨床的觀察を詳にし,同時にその發生機轉に關して考察を述べんとするものである。
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