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術後性顏面神經麻痺の豫後に就いて
顏面神経麻痺の内で手術時の副損傷によつて惹起されたものは我々が最も苦痛とする処である.之は神経麻痺の治療及び回復に対し明確な結論が得られていない爲に其の予後の判断が因難であるからである.其の際我々の関心事とする処は其の麻痺が自然回復の可能性があるか又回復の可能性があるとすれば何の位の期間で回復して來るかと言う事であり,又手術的療法を適当とする場合如何なる時期に如何なる症例を選ぶ可きであるかと言う事である.一般神経外科学的には麻痺発現後3ヶ月〜6ヶ月に手術が行われるのが効果的であるとされており,又昨年高原(高)教授は顏面神経麻痺の手術的療法と題し自然治癒を営み得るものであれば尠くとも半年以内には軽快の徴が現われるから麻痺発現後半年は待機して見る可きであると述べている.勿論之は一般の顏面神経麻痺に就いて述べられたものであつて茲に見られる半年なる期間に就いては種々の根拠によるものであるが要するに一方神経麻痺の自然回復の時期に対する観点との両面よりもたらされた一つの目安と見る可きもので実際問題としては種々な問題が存在する.私は斯の如き術後顏面神経麻痺が如何なる運命を辿つているかに就ては過去3年間に慈大附属病院で経驗した7例の患者に就いて観察を行つてみた.
Nagoshi reports 7 cases of facial nerve palsy that occurred as post operative sequela to the operation of the ear. Various aspects of this disease, such as, the possibility for natural re-covery, the time which it may require, indica-tions for nerve repair by operative methods and the optimal time for such a procedure, and, the degree to which present cases have made recovery are discussed.
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