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海外トピツクス
pp.1067-1069
発行日 1956年12月1日
Published Date 1956/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201855
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尿毒症の際の肺性鬱血と浮腫
尿毒症の患者では,時に胸部レ線像で中心肺野に対称性の陰影と共に,特長的な比較的明るい周辺帯の存在を示す事があり,之は肺性窒素血症Pulmonary azotemia,尿毒症性肺Uremic lung又は尿毒症性肺炎Uremic-pneumonlaと呼ばれていた。かゝる肺の変化を起す原因に就いては,以前は心及び腎疾患と窒素蓄積との関係が考えられ,又左室不全による肺性毛細血管圧の上昇及び尿毒症による血管透過性の変化が考えられたが,最近では体液の貯溜が根本的の原因であると考えられている。
de Pass et al.(1956)は,かゝるレ線所見を示した6人の患者に就いて報告している。それによると窒素血症は3例に見られ,糸球体腎炎及び肺炎が5例に又肺性鬱血と浮腫が全例に見られた。全例に胸部レ腺で肺性窒素血症の所見が見られたが,診断の基準となる明るい周辺帯の存在の価値は疑わしいもので,この様な所見は尿毒症でなくても,心管血管系に障碍があつた場合にも見られるものである。かゝるレ線所見は体液貯溜による肺性欝血と浮腫が原因であると説明せられるもので,著者等の全例に体液貯溜が見られ,之に肺性感染や呼吸数の増加が加わると一層かゝる所見を形成するものである。
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