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海外トピツクス
pp.895-896
発行日 1953年12月1日
Published Date 1953/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201120
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尿管S状腸吻合術(尿管皮膚移植術)後の膀胱腫瘍の退化に就て
惡性腫瘍が急性高熱性疾患,高度の榮養障碍或は内分泌障碍等と言う全身的異常,或は局所の血行障碍又は外傷等によつて退化し萎縮する事はあり得るが,一般にその本當の意味の自然治癒は先づないとされている。即ちFrauchinger(1929)及び Bauer(1949)等がその主張者である。直腸癌などが人工肛門設置後萎縮することはしばしば我々が目撃する處であるが,これは主として炎症性水腫性腫脹の減退によるもので,眞の腫瘍の萎縮ではない。
この直腸癌と入工肛門との關係と全く同様の傾向が,尿管S状腸吻合術或は尿管皮膚移植術によつて尿の接觸から開放された膀胱癌又は乳頭腫にも見られる事が最近に判つて來た。Pea即ち,1943年にPearseは浸潤性乳頭腫性膀胱癌の2症例に於て,先づ兩側尿管S状腸吻合術をしてから2ヵ月後に膀胱全剔除術によつて得た膀胱を開いて見ると,肉眼的には腫瘍は全く消失していた(しかし,組織學的検査によつては未だ癌細胞の残存が認められた)。この報告につゞいて,同様の經験がDavis;Trabucco;Hellstrom;Goldberg;Abeshouse;Sc-herlis;Gironcoli;Crone-Münzebrock und Boemin-ghaus等から報告され,今日ではかゝる總症例數は20例前後に達している。
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