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海外トピツクス
pp.88-89
発行日 1950年2月1日
Published Date 1950/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200318
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紅斑性狼瘡細胞
Hargraves, RichmonおよびMortonは1948年に播種状紅斑性狼瘡患者の骨髄液中に從來見たことのない一種の細胞を發見した.これをきつかけとしてこの疾患々者の體液を調べていくうちに,同じ細胞はまた末梢部の血液の中にも見出されることを知つた.この細胞の由來をたずねると,多形核白血球が血漿の何らかの作用を受けてそのように變化すると考えられたので,紅斑性狼瘡患者の血漿をこの疾患に罹つていないものゝ骨髄穿刺液に加えてみたところ,果して同じ細胞の出現するのを確めた.そこでこれにたいして紅斑性狼瘡細胞(略してL.E.cell)の名が與えられたが,その特徴とするところは,類圓形の大きな胞體の中に圓形,均質でやゝ不透明な塊状物を藏することである(圖),このような細胞が發見せられたのち,同じ被驗材料の中に多形核白血球の特異な集團の存することが見附けられた.すなわち酸好性.無構造の塊状物質の周邊に多數の多形核白血球が吸着されたような像を呈するのである.この二つのものは同一標本内に相混じて出現するもので,その數は1視野につき前者が2〜10個のとき,後者は0〜12個であるという.その後の追試者もそれが播種状紅斑性狼瘡に特異的に現われることを認め,この疾患の急性期にのみ見られるという考えに傾きつゝあるようである.
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