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海外トピツクス
pp.188-189
発行日 1954年3月1日
Published Date 1954/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201177
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腎の同種移植に就ての最近の研究
腎臓の同種移値術は,技術的方面では最近の發達した心臓及び血管外科及び抗性物質の應用によつて既に解決ずみで,臨床的にも施行可能の域に達しておる。そして最近ではアメリカ及びフランスから血管外科の專門家及び泌尿器科醫によつて,この手術を施行したと言う報告が相次で發表され,その數は既に20例を越えている。その中には,既に紹介した様に,Lawler et al.(1950)の症例の如く術後長期に亘つて移植腎が尿分泌伶用を營んだ場合もあるが,これは寧ろ例外であつて,一般には術後數週間以内に移植腎は全く機能を消失して終うものである。この事實は既に動物實驗でも證明されている處で,これも既に昨年紹介した如く,Lefebvre(1952)も犬に就ての實驗で同種腎移植は少なくとも一過性の腎機能障碍を救う方法としてのみ役立つ事を明かにしている。
この樣に腎臓の同種移植術によつて,豫期する樣な永續的の成功が收め得られないのは,生物學的方面からの問題,即ち移植腎と被移植體との間の免疫反應によるもので,人類に於ては血液型の一致のみに止らず組織の一致をも必要とするもので,これは我々には未解決の問題である。この腎移植術の生物學的問題を研討する最近の研究として,Dempster(1953)及びSimonsen,Bu-emann,Gammel-Jensen and Jorgensen(1953)の犬に就ての實驗がある。
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