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海外トピツクス
pp.519-520
発行日 1950年12月1日
Published Date 1950/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200437
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テラマイシン
今年になつてから治療界に提供せられた新らしい抗生物質に,Fjnlayおよびその共同研究者の發見にかゝわるテラマイシン(terramycin)がある。すでに發表せられた幾篇かの臨床賢驗成績によると,その効力の著しいことはオーレオマイシンに勝るとも劣らないものである。それはStreptomyces rimosus から分離せられた結晶性化合物で,酸とも鹽基とも結合して鹽を作る。室温において安定で,少なくとも1年間は力價を失わない。MayoClinicのHerellその他の藥理學的試驗および臨床實驗によると,試驗管内および人體において廣い細菌スペクトルを示し,グラム陽性ならびに陰性菌,ある種のリケッチアおよびウィールスに對して有効である。經口的に500〜750mgを6時間ごとに(すなわち1日2〜3g)輿えると,血液,髄液,胸腔,膽汁,尿および便に有効濃度において檢出せられる。それはまた胎盤を通過するので,妊娠中に母と胎兒との兩者を治療することができる。比較的毒性少なく,ときに空腹時服用に際して起ることのある下痢,惡心および嘔吐は,カプセルに入れて牛乳と共に輿えることによつて防止できる。他の副作用は,口内炎の生ずることがあるのみである。普通の使用量によつて便中にcc當り2.5mgの高濃度に排泄せられ,腸内細菌叢の多くは消失し,便は無臭となる。
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