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海外トピツクス
pp.950-951
発行日 1957年10月1日
Published Date 1957/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491202081
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前立腺癌の内分泌学的変化
Sommers (1956)は先年前立腺肥大症並びに癌患者の睾丸組織を検索し,屡々肥大した末熟のspermatogeniccellsを見出し,この変化の程度をI.S.H.(index ofspermatogenic hypertrophy)で表わす事を提唱した。そしてこの変化が過剰な内因性又は外因性のestrogenの効果であると論じた。その後Sommers (1957)は更に前立腺癌の内分泌学的検索をすすめ,最近新たな結論を発表した。彼は前立腺癌の剖検例223例について,内分泌器官特に睾丸,脳下垂体の組織学的検査を行い,略々同年代の対照例にみられた成績と比較,検討したのである。即ちI.S.H.(精細胞肥大係数)の上昇は前立腺癌群の50%に,対照群の32%に夫々見られた。併し,後者中前立腺肥大症のあつたものの87%にI.S.H.の上昇があつた事及び前立腺癌群の80%に前立腺肥大症の所見が認められた事から,I.S.H.上昇は癌よりも前立腺肥大症に特有なように考えられ,estrogenの過剰が肥大症と関係あるように見える。
之に対して脳下垂体に於ける変化は特異であつて,その成績は別表に見る通りである。
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