連載 症例で学ぶ非結核性抗酸菌症・19
関節リウマチ(RA)に合併する肺非結核性抗酸菌(NTM)症について
朝倉 崇徳
1,2
,
仁科 直
3
,
中川 拓
4
,
森本 耕三
5
,
倉島 篤行
5
,
長谷川 直樹
6
1慶應義塾大学医学部呼吸器内科
2国立感染症研究所ハンセン病研究センター
3慶應義塾大学医学部リウマチ・膠原病内科
4国立病院機構東名古屋病院呼吸器内科
5結核予防会複十字病院呼吸器内科
6慶應義塾大学医学部感染制御センター
pp.164-170
発行日 2019年2月1日
Published Date 2019/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1437200229
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症例1
73歳女性(図1)
現病歴:35年前にRAと診断され,RAに対して,メトトレキサート(MTX)10mg,タクロリムス(TAC)1.5mgに加え,生物学的製剤〔インフリキシマブ→エタネルセプト→アバタセプト→セルトリズマブ→トシリズマブ(TCZ)〕で加療され,現在TCZ 320mg/3週,を投与中であった.入院5年前に胸部CTで細気管支病変を指摘されていたが,特に呼吸器症状はなく年1回の胸部X線写真で経過観察されていた.入院半年前に,MTX増量を検討する際に撮像したCTで細気管支病変の増悪がみられた.入院前の胸部CTでは陰影のさらなる増悪を認めた.喀痰を喀出できず,気管支鏡検査による肺NTM症の鑑別目的に入院した.抗GPL-core IgA抗体(キャピリア®MAC抗体)は陰性であった.中葉の気管支洗浄液の培養からM. aviumが検出された.免疫抑制患者であり,今後の増悪が予想されたため,クラリスロマイシン(CLA)800mg/日,エタンブトール(EB)500mg/日,リファンピシン(RIF)450mg/日による多剤併用療法を開始した.治療開始後5カ月目で喀痰培養陰性化を達成したものの,陰影は一部増悪・一部改善を呈しながら経過している.
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