連載 症例で学ぶ非結核性抗酸菌症・20
稀な菌種による非結核性抗酸菌(NTM)症
浅見 貴弘
1
,
佐々木 結花
2
,
御手洗 聡
1
,
長谷川 直樹
3
,
小川 賢二
4
1公益財団法人結核予防会結核研究所抗酸菌部
2公益財団法人結核予防会複十字病院呼吸器センター
3慶應義塾大学医学部感染制御センター
4国立病院機構東名古屋病院呼吸器内科
pp.354-362
発行日 2019年5月1日
Published Date 2019/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1437200259
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症例1 20歳台女性
会社の健康診断の胸部単純X線写真で右肺尖の空洞と左中肺野の粒状影を指摘され受診した.発熱,咳,痰など自覚症状はなかった.喀痰抗酸菌塗抹検査は3回陰性でQFT(クォンティフェロンTBゴールド,キアゲン)は陰性だった.診断のために気管支鏡検査を施行し,左舌区の気管支洗浄液の抗酸菌塗抹検査は陽性であったが,核酸増幅検査では結核菌およびMycobacterium avium complex(MAC)は陰性であった.後日培養が陽性となりDDH(DDHマイコバクテリア,極東製薬)でMycobacterium szulgaiと同定された.イソニアジド(INH),リファンピシン(RFP),エタンブトール(EB)で培養陰性後1年間治療し粒状影は消失したが,肺尖部の薄壁空洞が残存したため右上葉を切除した.手術検体の組織培養は陰性であり,術後はINH,RFP,EBで1年間治療した.その後再発はなく経過している(図1,2).
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