連載 症例で学ぶ非結核性抗酸菌症・15
肺非結核性抗酸菌症に合併する気胸について
朝倉 崇徳
1
,
上山 雅子
2
,
森本 耕三
2
,
倉島 篤行
2
,
長谷川 直樹
3
1慶應義塾大学医学部呼吸器内科
2結核予防会複十字病院呼吸器センター
3慶應義塾大学医学部感染制御センター
pp.359-366
発行日 2018年5月1日
Published Date 2018/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1437200151
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症例1 76歳女性
【現病歴】入院2年前に胸部X線画像で左肺野の空洞性病変を含む異常陰影を指摘され当院を紹介受診した.胸部CTでは空洞,結節,粒状影,気管支拡張があり,喀痰抗酸菌検査で肺M. avium症と診断した.左網脈中心動脈閉塞症を有し,エタンブトール(EB)使用について同意を得られなかったため,アミカシン(AMK),リファンピシン(RFP),クラリスロマイシン(CAM)による加療を開始した.AMK投与後から時折めまいと耳鳴りを訴えたため,1カ月後にAMK→シタフロキサシン(STFX)200mg/日に変更した.入院3カ月前に喀痰から検出されたM. aviumがCAM耐性でありCAMを中止,RFPとSTFXで加療が継続された.徐々に呼吸困難が進行し,定期の胸部X線で偶発的に左気胸の存在が判明したため同日入院した.穿刺脱気で肺の拡張は得られなかったものの,胸腔ドレーン留置に同意を得られなかった.発症2カ月後の胸部X線画像では気胸はある程度改善していた.発症半年後に右胸部痛があり,右気胸を発症した.入院加療の希望はなく,発症10カ月後に自宅で死亡した.
【胸部単純X線写真】左気胸を発症し加療により改善したが,退院半年後に対側に再発した(写真a〜d).
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