連載 症例で学ぶ非結核性抗酸菌症・21
肺非結核性抗酸菌症に合併する胸膜炎
八木 一馬
1,2
,
長谷川 直樹
3
,
倉島 篤行
4
,
森本 耕三
4
,
森野 英里子
5
1国立病院機構東京医療センター呼吸器科
2慶應義塾大学医学部呼吸器内科
3慶應義塾大学医学部感染制御センター
4結核予防会複十字病院呼吸器内科
5国立国際医療研究センター呼吸器内科
pp.536-541
発行日 2019年8月1日
Published Date 2019/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1437200287
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症例 60歳代女性,158cm,50kg
【経過】X-6年前に肺M. avium症と診断され,クラリスロマイシン(CAM)800mg/日+リファンピシン(RFP)600mg/日+エタンブトール(EB)750mg/日による抗菌薬治療が開始された.経過良好でありX-1年に内服終了となり,その後は無治療経過観察中であった.定期的に外来で経過観察され,喀痰抗酸菌培養陰性が続いていた.受診6日前より左側胸部痛があり,受診5日前より発熱が持続していたために受診1日前に近医を受診した.胸部X線で左胸水貯留および左気胸(Ⅱ度)を指摘され,当院を紹介受診し,同日に緊急入院した.左胸水はリンパ球優位の滲出性胸水で,胸水中adenosine deaminase(ADA)87.0U/Lと高値であった.同日左胸腔ドレーンを挿入した.経過良好であり入院8日目に胸腔ドレーンを抜去した.左胸水検体および入院時の喀痰からM. aviumが培養陽性,肺M. avium症に伴う胸膜炎と診断した.CAM 800mg/日+RFP 600mg/日+EB 750mg/日による抗菌薬治療を再導入し,入院26日目に退院した.アミカシン(AMK)点滴も4ヵ月間併用し,喀痰培養は陰性化した.
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