脳神経外科診療に役立つ薬物療法の知識
抗てんかん薬の使い方
十河 正弥
1
,
松本 理器
1
Masaya TOGO
1
,
Riki MATSUMOTO
1
1神戸大学大学院医学研究科脳神経内科学
1Division of Neurology, Kobe University Graduate School of Medicine
pp.553-559
発行日 2020年6月10日
Published Date 2020/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436204227
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Ⅰ.はじめに
てんかんは,有病率約0.4〜0.8%と頻度の高い神経疾患である.また,近年では高齢発症例や脳卒中後てんかんも増加傾向にある.脳神経外科領域においては,脳腫瘍や手術後に症候性てんかんを合併することも多い.抗てんかん薬による薬物療法はてんかん治療の中心であり,一般的には抗てんかん薬により約70%の患者は寛解状態となる.近年は新規抗てんかん薬の出現により,治療の選択肢もさらに増加しており,成人てんかん患者の薬物療法についての理解は,脳神経外科領域においても重要事項の1つである.
本稿ではまず総論として,2018年に日本神経学会から出版された『てんかん診療ガイドライン2018』10)の内容を中心に,成人てんかんの薬物療法について述べる.その次に,脳神経外科領域にかかわる話題として,てんかん重積の最近のトピック,脳腫瘍関連てんかん,脳卒中後てんかんについて述べる.
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