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編集後記
斉藤 延人
pp.1144
発行日 2018年12月10日
Published Date 2018/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436203884
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本号の扉では,大阪労災病院の山本和己先生が「働き方改革?」と題したエッセイを寄せられています.労災病院ですからその意識は高く,的確に問題点を指摘されています.山本先生のお言葉では,「安心安全な医療は日頃の医療従事者,特に医師の過重労働に支えられていた」とありますが,まさしくその通りで,これを急激に改革すると随所に大きなひずみが出ることは必至です.
2017年から,「医師の働き方改革に関する検討会」が厚生労働省で行われていますが,まだ先行きは見えません.本誌が発刊となる年末頃が一つの目処となっていますので,何らかの方向性が示されているかもしれません.現時点でも,適切な労使協定の締結や出退勤時間の適切な管理は先行して求められていますが,研修医をはじめとする自己研鑽の時間の考え方や,大学の場合には裁量労働制の考え方も含め,医師の勤務時間の考え方について,この検討会における方針が定まるのを待っている状況です.この間にも個別案件で労働基準監督署からの是正勧告を受けた病院では,診療のあり方そのものの変更を余儀なくされている病院もあるようで,極端な例では,患者家族への説明を夜間や休日には不可としたり,不急の急患の受け入れを制限する方針を打ち立てたり,行き過ぎと思いますが手術も日勤帯と夜勤帯でメンバーを交代するというような話も聞こえてきています.確かにわれわれの労働のあり方そのものを見つめ直さなければいけないターニングポイントにいると思いますが,人件費増とも連動して診療アクティビティの低下を招くようになれば,医療提供体制の崩壊を招きかねません.
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