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編集後記
斉藤 延人
pp.1132
発行日 2007年11月10日
Published Date 2007/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436100653
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地球温暖化や環境問題がクローズアップされている昨今だが,今年の夏は温暖化の問題がいよいよ現実的になってきたと感じずにはいられないほど暑かった.この編集後記を執筆時点の9月末においてもまだ夏の気候である.今年の冬はやはり短くなるのだろうかと期待と心配が半々である.本誌が発刊される頃には仕事や勉強がはかどるようないい季節であることを期待したい.
さて恒例の扉の欄では,山梨大学の木内教授が自身のレジデント時代の回顧記を記されている.伸び盛りの脳神経外科医局の多忙な日々の中で,いかに教育がなされていたのかが生き生きと伝わってくる名作である.鈴木二郎先生の教育システムがすばらしく実を結んでいることは,木内先生をはじめとする東北大学出身の先生方のご活躍を見れば明らかである.初期臨床研修システムの導入後,既に2回目の後期研修生を迎えているが,彼らとともに新しいシステムを構築していく時期に来ていることを痛感している.学会においても後期研修や専門医教育システム,生涯教育について大きな見直しが必要な段階に来ている.変革が現在進行形の最中には,なかなかその変化に気がつきにくいものだが,この回顧記のように後になって振り返ってみれば,非常に重要な時期であったことに気づかされるのだろう.大学病院においても経営面の重要性が強調され,今まで研究に費やされていた若い力の時間や総数が大きく臨床にシフトしてきている.木内先生は「脳神経外科の立場から神経科学の発展を通じて社会に貢献する」ことを根幹に据えるという鈴木二郎先生のspiritを強調されているが,その精神を見失わないように気をつけていきたいものである.
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