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編集後記
斉藤 延人
pp.1088
発行日 2016年12月10日
Published Date 2016/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436203434
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昨年の北里大学の大村智特別栄誉教授に続き,今年もまた日本人がノーベル生理学・医学賞に選ばれました.受賞者の東京工業大学の大隅良典栄誉教授は,オートファジーの仕組みを解明した功績が評価されました.オートファジーは,細胞内におけるタンパク質分解とアミノ酸の再利用に関するメカニズムとして創薬にもつながると注目されていますが,大隅教授は形態学的にその現象を発見し,関連する遺伝子を同定されました.今後,この分野のますますの広がりが期待されます.最近では大学などにおける日本の研究力の低下が懸念されていますが,大隅教授の受賞は日本国民や研究者に大きな夢と希望を与えてくれました.外国の研究者と話をしていても,やはり日本の基礎研究力の強さは定評のあるところです.われわれはもっと自信をもってよいのだと思います.
さて,本号の扉では,京都府立医科大学の橋本直哉教授が,「京都の森と海と大学と」と題した寄稿をされています.ご着任から1年あまり経った京都の小旅行についての随筆で,京都の広さと歴史の深さを感じながら京都旅行へのお誘いです.総説では,岡山大学脳神経内科学の山下徹先生らが「脳保護療法の新展開」と題して,フリーラジカルスカベンジャーであるエダラボンの開発と,最近の話題であるALSへの適応について解説されています.手術手技の欄では,大阪大学の藤本康倫先生らが,「内視鏡下経鼻手術における鼻・副鼻腔機能の温存」と題し,解剖とともに機能評価や手術手技について詳説されています.
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