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編集後記
斉藤 延人
pp.1132
発行日 2017年12月10日
Published Date 2017/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436203661
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今年は7月までは気温の高い日が続き,猛暑の夏を予感させていましたが,8月に入ると一転して雨の日が多く,結局は猛暑日の少ない冷夏でした.また,10月後半に台風が連続して日本にやってくるなど,気象の変化が激しい1年でした.医療の分野では,来年度より日本専門医機構による専門医制度が始まるため,現在,専攻医登録が行われています.本号が上梓されるころにはその結果も出ていることと思われますが,研修医の診療科選択の動向が大きく変化すると予想されています.
さて,本号の「扉」では,朝日大学の郭泰彦先生が「時間考」と題して考察されています.人の感じる時間の長さが年齢に反比例すること(ジャネーの法則)は皆さんも実感としてもっているとは思いますが,その理由が,脳に入ってくる新しい情報量が少なくなるためという考え方は,新鮮に感じました.研修医の頃,手術時間が長く感じられ,お昼になるとお腹がすいて仕方なかったのが,年をとって自分が術者になると,手術の時間の経過があっという間に感じてしまうのも,同じような理屈になるのでしょうか.折しも2017年のノーベル医学生理学賞は,体内時計の遺伝子とメカニズムを発見した,ブランダイス大学Jeffrey C. Hall博士,Michael Rosbash博士,ロックフェラー大学のMichael W. Young博士に決定しました.彼らはサーカディアンリズムを形成する分子であるperiod遺伝子やtimeless遺伝子を発見し,そのメカニズムを解明しました.時間に関しては,哲学,物理学,生理学の各方面から今後も解明が進んでいくのでしょう.
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