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Ⅰ.はじめにわれわれは脳浮腫の発生機序に関しこれを生理学,生化学ならびに形態学的立場から多角的な検討を行なってきた.その結果脳ミトコンドリアの機能障害が脳浮腫の発生ならびに広く脳の機能障害に重要な相関を示すことを見出し,報告してきた.これらの研究の中で脳ミトコンドリアの機能,特にエネルギー形成過程の障害に関与する少なくとも2つの因子を明らかにしてきた.すなわち脳圧迫,脳循環障害などの病的条件下において脳ミトコンドリアのエネルギー形成過程を阻害する物質(Endogenous Inhibitor)が細胞内に代謝過程を通じて蓄積してくることを見出した11,20,21,31,33).更に同様な病的条件下においてEndogenous Inhibitor(EI)とは別にミトコンドリアの酵素系からある種の活性物質(Active Factor)が脱落し,これがミトコンドリアの失活と関係していることも発見した.
これらの実験結果に基づき,それぞれの因子を除去ないしreplaceしてやることが可能であれば,障害された脳ミトコンドリアの機能を回復せしめ,ひいては脳全体としての機能回復をも期待しうるのではないかと考えた.今回は既に発表した牛血清アルブミンによるEIの無害化並びにActive Factorの添加によるミトコンドリアの失活防止に関する知見をin vivoの条件下で応用することを試み2,3の知見を得たのでここに報告する.
The search for the fundametal factors responsible for the development of cerebral edema and associated cerebral dysfunction and also of its therapeutic possibility has been made in this studies.
It has been previously reported that biological function of the brain mitochondria decreased in association with the various cerebral pathologies such as cerebral edema, ischemia etc.
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