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Ⅰ.はじめに
悪性脳腫瘍治療の現状を考える場合,脳神経外科医ならば誰でも,その治療成績にかなり明確な限界のある18)ことを知っているであろう.放射線治療はMedulloblastomaのような感受性の高い腫瘍に対しては一時的に著しい臨床効果が認められるものであるが,radiation necrosisによる正常脳組織の障害から,ある限界以上の照射量を与えることはできない.化学療法については,抗腫瘍作用の認められる薬剤はあっても,その効果は一時的であり投与を中止せざるをえない副作用の壁がある.
今日まで,悪性脳腫瘍治療の原則は手術によってできる限り広範な除去を行ない,感受性のある薬剤を選択し,投与法を改善して,いかにその効果を最大限にもたらすか,あるいはBAR療法13),または硼素中性子捕捉療法4)のように放射線に対する腫瘍細胞のみの感受性を高めて,いかにしてもっとも効果的な治療を行なうかという方向に向けられてきた.これらの努力はすべて正しいものではあるが,腫瘍に対する生体の防衛力を増強するという方向も,今日問い直される必要があるのではなかろうか.悪性腫瘍に対する防衛現象として生体に免疫監視機構2)の存在することが近年ますます明確になってきたからである.
New method of adjuvant immunotherapy for malignant brain tumors was investigated. Allogeneic bone marrow cell transfusion was carried out to 9 malignant brain tumors of infants and children (3 medulloblastomas, glioblastoma, congenital optic nerve astrocytoma, congenital 3rd ventricle subependymal astrocytoma, pinealoma in chiasmal region and 2 pontine gliomas). Fresh bone marrow blood taken from healthy adults (5×108 to 9×109 bone marrow nucleated cells) was transfused to patients after ordinary treatment including operation, radiation and chemotherapy.
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