扉
超高齢化社会における脳神経外科医
中村 博彦
1
Hirohiko NAKAMURA
1
1医療法人医仁会中村記念病院
pp.957-958
発行日 2012年11月10日
Published Date 2012/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436101853
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政治がどのように変化していくのかは皆目見当がつきませんが,近い将来日本では確実に超高齢化社会が到来します.最近の新聞記事によると,65歳以上の高齢者人口が総人口の23.3%(2,975万人)に達し(2011年10月1日時点),団塊の世代が65歳以上になる2015年には3,395万人になって,2042年まで増え続けると予想しています.後期高齢者は既に1,471万人(11.5%)で,100歳以上も4万7千人と決して珍しくはなくなりました.平均寿命は経済情勢から考えると頭打ちになるかもしれませんが,高齢者の平均余命は確実に増加し,医療機関と関わる機会の多い75歳以上の後期高齢者がさらに高い比率で増え続けます.
今から35年前になりますが,私が脳神経外科医として働きはじめた頃は,70歳以上のくも膜下出血患者さんに急性期で手術を行うと,とんでもないことをすると人非人のように責める方々がいました.現在では,高齢者のくも膜下出血の患者さんにクリッピング手術を行っても,どなたも「手術適応がない」などととがめたりはしないでしょう.患者さんが肉体的に若くなったのと同時に,高齢者に対する麻酔法や術後管理,手術機器や手術技術の進歩により,手術が安全に確実に行えるようになったからです.コイルによる血管内手術が可能であれば,もっと治療に対する抵抗感が少ないはずです.
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