視座
迫ってくる超高齢化社会
塚本 行男
1
1北里大学医学部整形外科
pp.1339
発行日 1990年12月25日
Published Date 1990/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408900235
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60歳代の方の外来,入院において占める割合を特に調べたわけではないが,相当の数にのぼるであろう.当然,変性疾患が多く,症状に応じて定期的な通院や入院も勧めてみる.ところが,「私は老人を抱えているのでそんなことは出来ませんよ」との答が返ってくることがままある.考えてみれば,最近では60歳代の方が80,90歳代の両親,あるいは片親の面倒をみている方も稀では無いはずである.これは大変な御苦労であろうと同情する.
一方では,大腿骨頸部骨折などで入院した高齢者の患者さんの中のかなりの方は,整形外科的には一応の治療のゴールには達したものの,痴呆やその他の内科的疾患のため自立生活は到底無理な場合が少なくない.これらの患者さん達を必ずしも家族は引き取ってくれない.この場合,次の収容先を探すのに病院側も四苦八苦する.高齢化社会がひたひたと押し寄せてくるのが実感される.
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