視座
高齢化社会と整形外科
松末 吉隆
1
1滋賀医科大学整形外科
pp.215-216
発行日 2002年3月25日
Published Date 2002/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408903487
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21世紀を迎え,いよいよ高齢化社会の到来となり,医療,看護,介護,福祉の分野でそれぞれ効率の良い運営と相互の協力関係についての論議がなされている.国民医療費の伸びの抑制は避けられないものの,健保本人の三割負担など見境のない削減策が提案されるなど,開業医は勿論のこと大病院で働くわれわれにとっても看過できない状況となってきている.難しい手の凝った手術をしても人件費や諸経費を引くと赤字になるようなシステムのなかで,本当にいい治療を行っていく医療機関が報われるような保険システムに変えて欲しいと願うものである.介護保険の導入により,医療と福祉の分別化がなされたが,医療と福祉とを全体での国民医療費として捉え,そのなかで真に必要な分野と治療法に支出していくべきであろう.3年目の医師と20年目のベテランの医師の手術料を含めた技術料が同じで,整形外科専門医と一般内科医の整形外科疾患での治療費が同じであるといった矛盾の解決はなかなか進んでいない.医療技術の進歩は新しい需要を生み出す一方,高齢化による有病患者数の増加により,医療費の自然増は当然のことといえる.また,最近増加率が鈍ってきたとはいえ,医師実数の増加は,必然的に医療費を増やす.
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