扉
脳神経外科と高齢化社会
竹内 一夫
1
1杏林大学脳神経外科
pp.1021
発行日 1988年8月10日
Published Date 1988/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436202675
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人生50年,70歳を古稀と呼ぶようになった時代に比べると,最近は何処に行っても老人の姿が目につく.そもそも何歳以上が老人かはっきりしないが,先日の第1回老年脳神経外科研究会の世話人会を傍聴すると,どうも65歳以上を一応老人とすることに落着きそうである.私自身がその年齢に近付くと,歳には暦年齢以外に精神年齢や肉体年齢があって,たとえ歳をとっても精神や肉体はいつまでも若く保ちたいという気持が強くなる.
われわれが脳神経外科を始めた頃は,病室に行ってもまず老人の姿は見られなかった.同居していた一般外科には老人が珍しくなかったが,「あたま部屋」と称する脳外病室は子供や青・壮年ばかりであった.その頃読んだ文献でも,老人の脳腫瘍は珍しいこと,診断が困難なこと,悪性腫瘍が多いこと,手術適応が少ないこと,予後が不良なことなどがそろって特長として挙げられていた.
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