読者からの手紙
「Intraoperative photodynamic diagnosis for spinal ependymoma using 5-aminolevulinic acid」の論文について
宇津木 聡
1
1北里大学医学部脳神経外科
pp.1231
発行日 2006年12月1日
Published Date 2006/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436100315
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貴誌に掲載の荒井隆雄先生らのテクニカル・ノート「Intraoperative photodynamic diagnosis for spinal ependymoma using 5-aminolevulinic acid」(No Shinkei Geka 34:811-817)を興味深く拝読いたしました.脊髄上衣腫におけるphotodynamic diagnosis(PDD)の有用性について述べておられますが,われわれの施設でもPDDを用いた脊髄上衣腫の摘出を経験しました1).著者らも指摘しておりますが,脊髄髄内腫瘍におけるPDDの役割は残存腫瘍がないことの確認ということになります.われわれの脳腫瘍におけるPDDの経験ではほとんどの場合,肉眼でprotophyrin IX(PPIX)の赤い蛍光の確認が有用ですが,PPIXの蓄積した腫瘍細胞の細胞密度が低い場合や腫瘍の塊が小さいときなどには赤い蛍光が観察しづらく,時に術野での蛍光スペクトル分析がより有用なことがあります2).著者らは赤い蛍光が観察されたときに,それがPPIXの蛍光であることを確認するために腫瘍摘出標本のスペクトル分析を行っておられますが,肉眼で赤い蛍光が観察されないtumor bedでスペクトル分析を行うほうが微細な残存腫瘍の検出により有用と思われます1).
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