コラム:医事法の扉
第27回 「医療慣行」
福永 篤志
1
,
河瀬 斌
1
1慶應義塾大学医学部脳神経外科
pp.651
発行日 2008年7月10日
Published Date 2008/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436100772
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第9回コラムの「医療水準」2)と似た概念で「医療慣行」があります.医療慣行とは,慣習的に行われている平均的医療行為をさしますが,われわれ医師の場合,実際の臨床現場において長年の経験と専門的知識に基づき積み上げられてきた医療慣行を尊重し,それを積極的に実践していることが多いと思います.例えば,薬剤の具体的投与方法などが典型です.
ところで,医師が医療慣行に従って医療行為を行ったにもかかわらず患者に何らかの被害が発生した場合に,その医師は法的責任を負わなければならないのでしょうか.確かに,医療慣行は,合理的・平均的基準を示すものであり,客観的に判断しやすいことから,医療慣行に従っていれば,注意義務を果たしているように思えます.
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