特集 神経学における最近の研究
<臨床>
Disconnexion Syndrome—離断症候群
杉下 守弘
1
1東京大学医学部脳研神経内科
pp.781-782
発行日 1978年7月10日
Published Date 1978/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904930
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1.離断症候群の概念
離断症候群とは,失語・失行・失認として総称される症状の一部に関連するものであり,詳しく述べると,1)左右の両大脳半球のうち,いずれか一方の半球内の皮質間を連絡する線維(連合線維)の損傷,あるいは,2)左右の両大脳半球の皮質間を連絡する線維(交連線維)の損傷の結果生ずる諸症状を指している(GESCHWIND,1965)。なお,これらの線維の損傷に加えて,大脳皮質や投射線維の損傷が合併したことによって,線維の損傷のみでは生じない特殊な症状が生じた場合も,それを離断症候群に含めている。
離断症候群は,この定義に加えて,1)その症状の発現の機序を,disconnexion(離断)という概念で説明しうるとする,という点と,2)大脳皮質に関する古典的局在論を肯定する,という2つの点を含意しているといってよいであろう。離断症候群の1つである「純粋失読」を例にとって説明してみよう(付図参照)。
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