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特集 Disconnexion Syndromes
Disconnexion Syndromeの聴覚的検討—Dichotic Listening Testについて
Disconnexion Syndrome and Dichotic Listening Test
渡辺 俊三
1
,
北條 敬
1
,
佐藤 時治郎
1
Shunzo Watanabe
1
,
Kei Hojo
1
,
Tokijiro Sato
1
1弘前大学医学部神経精神医学教室
1Department of Neuropsychiatry, Hirosaki University, School of Medicine
pp.873-880
発行日 1979年9月1日
Published Date 1979/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406204462
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1.はじめに
Dlsconnexion syndromeの考えはWernicke (1874)56)の伝導失語に始まるといわれる。すなわち,運動言語中枢の第3前頭回と感覚言語中枢である第1側頭回を連絡する連合線維の損傷で特別な失語症が生ずるとし,これを伝導失語と称した。その後19世紀末から20世紀初めにかけて,Dejerine7〜10),Liepmann25)により半球間の連合機能における脳梁の意義が明らかにされ,1950年代以後のMyers, Sperryら30,31,46〜48)の脳梁切断動物の神経心理学的研究は,世界の注目を集めた。1965年Ges—chwind16)は連合野皮質の病変,または大脳白質病変によつて生じる大脳皮質間の連合機能障害をdisconnex—ion syndromeと名づけ,また脳梁損傷に基づく片側性の神経心理学的症状を,半球間連合障害inter-hemisphericdisconnexion syndromeと理解すべきだと述べている。その後脳梁損傷例の臨床実験,動物実験が相次いでみられている。
脳梁損傷による半球間連合障害としては,視覚,聴覚,触覚などの認知および行為の問題など多岐にわたり,脳梁完全切断例においてはすべての症候が出現しうるが,脳梁部分切断例においてはその一部の症候しか認めえない。しかし脳梁部分切断例の症候の研究は,神経心理学的にも神経解剖学的にも興味あるところである。
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