Japanese
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特集 Disconnexion Syndromes
Disconnexion Syndromeをめぐるいくつかの問題
Disconnexion Syndrome : A critical analysis of its neuropsychological implications
浜中 淑彦
1
,
大東 祥孝
2
Toshihiko Hamanaka
1
,
Yoshitaka Ohigashi
2
1京都大学医学部精神科神経科
2京都第一日赤精神科
1Department of Neuropsychiatry, Kyoto University
2Department of Neuro-psychiatry, Kyoto First Red Cross Hospital
pp.907-912
発行日 1979年9月1日
Published Date 1979/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406204467
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I.はじめに
神経心理学の研究史をふりかえつてみると,古典論時代に既に脳梁機能に関する理論的仮説(C.Bastian, J,Dejerine, H.Liepmannなどのが提出され,劣位半球症状記載(J.H.Jackson以後のの端緒が見出されていた(Benton 1972)とはいえ,第二次大戦前の主要な研究テーマは優位半球症状,特に失語論であつたといつて過言ではなく,戦後に至つて漸く劣位半球症状の組織的研究が進展すると共に,左右半球の質的相違が注日されるようになり,言語に関する大脳優位cerebral domina—nceの問題はいわばcerebral lateralizationの問題によつて取つて代られる気配がみられるようになつたといえようが,次に提起されるべき問題は当然,左右半球の機能的関係の再検討であろう。かくして1960年代以降,脳梁をはじめとする大脳交連損傷時の症状があらためてクローズアップされるに至つたことは歴史的必然とも考えられ,連合離断症状群disconnexion syndrome (Ge—schwind 1965--以下D.S.と略)の学説がこのような研究に対して導火線の役割を果して促進的刺激的働きをなし,脳梁損傷の症状学を明確にする上で貴重な貢献をしたことは無視出来ぬ事実である。しかしながら,その後D.S.の理論が拡張適用されて行く途上で,これに対する原理的批判や修正ないし限定を加えんとする見解が各方面で提出されているのも,これまた否定し難い事実である。
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