Japanese
English
特集 日米合同セミナー—学習と行動の神経生理学的基礎
行動決定の神経メカニズム
On the neural Mechanism of Decision Making
吉井 直三郎
1
,
宮本 健作
1
,
早瀬 三太郎
1
Naosaburo Yoshii
1
,
Kensaku Miyamoto
1
,
Santaro Hayase
1
1大阪大学医学部第二生理学教室
1Second Department of Physiology, Osaka University School of Medicine
pp.7-25
発行日 1971年6月30日
Published Date 1971/6/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904686
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緒言
行動決定(decision making)に関する心理学的実験は必ずしも少ないとはいえないが,その神経メカニズムについての研究はほとんどなされていない。本論文ではこの主題について行なつた私達の実験成績をのべ,あわせてこれまでに発表された他の研究者の仕事についても簡単にふれようと思う。
Operant conditioningでは条件刺激(CS)または信号が与えられている時,動物が行動(目的をもつた運動反応)することによつて,餌を得たり,あるいは肢への電撃をさけるごとき報酬が与えられる。かくして条件づけられた動物では,CSを与えると,条件行動があらわれるようになるが,末梢性CRに先行して中枢性にも脳波活動の変化(中枢性CR)が認められる。またこのようなOperant conditioningの経過中に,動物は餌を要求する目的で,あるいは予期される肢への電撃をさけるために,信号が与えられないときでも,前もつて条件行動(CR)と類似の運動反応をあらわす。すなわち自発的に(随意)行動をする。随意行動のときにも,末梢性の運動反応に先行して,中枢神経に脳波活動の変化を認める。
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