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特集 糖尿病―心理と行動のサイエンス
―行動決定の認知・行動理論―患者はなぜそのように行動するのか―認知の変容をきっかけとして行動変容をねらう
Why do the patients behave in such a way ?―Cognitive behavior theory for selecting what to do
金 外淑
1
1兵庫県立大学看護学部心理学系
キーワード:
認知行動療法
,
認知・行動変容
,
心理的治療
,
セルフ・エフィカシー
Keyword:
認知行動療法
,
認知・行動変容
,
心理的治療
,
セルフ・エフィカシー
pp.31-37
発行日 2005年1月15日
Published Date 2005/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415100622
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Case 血糖コントロールの不良が続いているのは,患者が自己管理できないせい?
患者:48歳(男),肥満体系(体重82 kg).5年前2型糖尿病を診断された直後には過剰適応的に頑張りすぎだが,担当医が変わり,仕事も多忙で時間も不規則となり,そのまま3年間治療を放置した.仕事は営業職,几帳面で真面目な性格.昇進し単身赴任し,ほとんど休まずに仕事をこなしていたが,仕事のトラブルで部下が突然会社をやめたことに責任を感じ,情緒不安定になった.その後,仕事のストレスに加え,飲酒量が増加,食行動が乱れた.全身倦怠感とともに不眠,気分の落ち込む日が続き,糖尿病合併症への不安を主訴に内科を受診した.検査後(HbA1C 9.4%),あらためて,治療への取り組みを担当医に約束したが,思うように実行できず,一人で思い悩んだ.受診6カ月後,血糖コントロール不良(HbA1C 9.8%)が続いたため,教育入院を勧められたが,仕事上の問題で拒否した.そして,何もやる気が起こらない状態,抑うつ気分が続き,同僚の勧めで心療内科を受診し,「抑うつ状態」と診断された.糖尿病,抑うつの薬物治療を行うとともに,心理面接を受けることになった.
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