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特集 日本脳炎
急性期から慢性期にかけての日本脳炎の神経病理学—その実態,病因,臨床像との関連,将来の研究方向
The Neuropathology of Encephalitis Japonica from Most Acute to Chronic Stage: With Special Reference to Actual Status, Etiopathogenesis, Relationship to Clinical Features and Orientation to Future Study
白木 博次
1
Hirotsugu Shiraki
1
1東京大学医学部脳研究所病理部
1Department of Neuropathology, Institute of Brain Research, School of Medicine, University of Tokyo
pp.352-398
発行日 1967年8月25日
Published Date 1967/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904414
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I,はじめに
今日までに蓄積された日本脳炎の神経病理学的知識を基礎において,過去の文献の記述を判断してゆくと,大正元年8月下旬,岡山県下の大流行時の3剖検例をまず最初のものとしてあげることができよう(桂田1)).以来約55年の長年月をよみし,その間,数多くの剖検例が報告され,そこから勝れた綜説的記述に接する機会にも恵まれてきたといえなくはなく(林2),和気ら3),金子,下田4),菅野5),Haymaker6),武谷7d),白木8),9),白木ら10)),したがつて日本脳炎の神経病理学は,一見,確立されたかの感がある。
しかし以上の諸業績の内容は,昭和23年,東京都下の大流行時にあたつて,立津11),後藤12)〜17)により,急性期の臨床にひきつづく過去20年間のこの疾患の後遺症と,その変遷についての詳細かつ忍耐強い精神神経学的観察を,形態学的に裏付ける点では不満足な段階にとどまつていたといえなくはない。ところで過去5年間にわたる遷延ならびに慢性両例の蓄積と,その綜括的報告(白木18),19),浜田ら20),21))は,数量の点ではなお不十分とはいえ,ようやく近年,この疾患の脳病理の全貌を明らかにしようとしている。
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