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特集 第5回神経化学懇話会
シンポジウム・2
脳細胞成分(Subcellular units)の生化学
2.ミトコンドリアの電子伝達系の基本単位(基本粒子)について
On the Elementary Particles, Fundamental Unit of Mitochondrial Electron Transfer System
小田 琢三
1
Takuzo Oda
1
1岡山大学医学部病理学教室
1Dept. of Pathology, Okayama University Medical School
pp.738-742
発行日 1963年8月25日
Published Date 1963/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904057
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精神神経機能はもちろんあらゆる生命現象に必要なエネルギーの大部分がミトコンドリア(糸粒体)における呼吸機能の遂行によつて産生される。神経細胞が密なクリステをもつ多数のミトコンドリアを有し,極めて旺盛な呼吸を営なむことそして呼吸の障害が直らに精神神経機能の障害を来たす事実は,神経細胞がその独自な機能を果すために多量のエネルギーの供給を必要とするからにほかならない。すべてのミトコンドリアに共通な最も重要な機能の一つはいうまでもなくこの呼吸機能,すなわち糖をはじめアミノ酸や脂質などの代謝産物をクエン酸回路の酵素群と電子伝達系との共同的触媒作用によつて水と炭酸ガスに分解し,その酸化過程に遊離するエネルギーを化学的エネルギーに転換,すなわちADPと無機リンからATPを合成することである。この最も基本的なミトコンドリア機能を果しうる最小の構造単位が何であるか,それがいかなる分子構成をもち,ミトコンドリアの薄膜構造の中にいかに組立てられているか,そしていかなる機構でエネルギー転換の化学反応が進行するかということがわたくしの最も興味を抱いた課題であつた。
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