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特集 第5回神経化学懇話会
シンポジウム・2
脳細胞成分(Subcellular units)の生化学
3.脳細胞内成分の分離に関する形態学的検討
Electron microscopic observation on the subcellular units from rabbit brain
井上 章
1
,
品川 嘉也
1
,
桝村 純生
1
,
入交 昭彦
1
,
伊達 慶宗
1
Akira Inouye
1
1京都大学医学部生理学教室
1Dept. of Physiology, Faculty of Medicine, The Univ. of Kyoto
pp.743-749
発行日 1963年8月25日
Published Date 1963/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904058
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はじめに
構造と機能の相関は神経系に最もよく現われており,機能単位としての神経系の諸概念は―特に細胞レベルにおいて―構造単位としてのmorphologyの概念を前提として成り立つ。この概念の相補性は神経生理学者や生化学者には充分認められていないようだとS. Palayはいつている。神経化学はその名称の本来の意味において,神経系の分子レベルでの理解をめざすものでなければならない。一方,電子顕微鏡技術の最近の発達は蛋白や核酸の分子そのものを可視とした。吾々が分子レベルで得る情報は今やchemical informationに止まらず,その局在や空間配置についても詳しい知識が必要となつてきた。脳細胞成分(Subcellular units)の概念についてもこの観点からの反省がなされねばならない。
脳組織のsubcellular unitsの遠心分画を形態学的に検討するに当つて――祖経系に特有の多くの問題が存在する訳であるが――細胞化学一般におけるSubcellular unitsの概念にまず検討を加えておく必要がある。遠心分離法によつてある分画が得られた場合,その分画の命名――組織化学的概念との対応がまず問題となる。
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