Japanese
English
特集 第8回「脳のシンポジウム」
主題:錐体外路系研究における神経薬理の進歩
錐体外路系におけるGABAの役割—黒質を中心として
Role of γ-aminobutyric acid (GABA) in the extrapyrarnidal motor system: GABA in substantia nigra
岡田 安弘
1,2
Yasuhiro OKADA
1,2
1東京大学医学部脳研究所神経生理学部門
2現在:東京都神経科学総合研究所
1Dept. of Neurophysiology, Institute of Brain Research, University of Tokyo
2Dept. of Neurochemistry, Tokyo Metropolitan Institute for Neurosciences
pp.162-168
発行日 1973年2月10日
Published Date 1973/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903485
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
1950年にGABA(γ-aminobutyric acid)が哺乳動物の脳内に存在する物質であることが認められて以来1〜3),1957年のBazemore,Florey4)らのFactorⅠの研究を契機として,神経伝達物質としてのGABAに関する研究が多くの人びとによってなされて来た5)。その結果,現在では(無脊椎動物),とくに甲殻類では,GABAが抑制性神経伝達物質の一つであるという証拠が,Kravitz6),Otsuka7)らによって明らかにされている。一方,脊椎動物の哺乳類においてもCurtis8),Krnjević9)らによる大脳皮質ニューロンに電気泳動的にGABAを作用させた研究,そしてObata,Ito10),Otsuka11)らの小脳―ダイテルス核のGABAの役割の研究などによって,GABAが哺乳動物の中枢神経系でも抑制性伝達物質として作用しているという可能性が示されてきた。
ある物質が神経伝達物質の範疇に属するかどうかの一般的な基準としては,本シンポジウムのパネル討論で,Itoが指摘したように,その物質がその局所に存在すること,なんらかの刺激により放出されること,とりこまれること(uptake),その物質についての酵素系の存在すること,生理学的にシナプス後膜への作用があり,特異拮抗物質でその作用が抑制されることなどの諸条件が考えられる。
Copyright © 1973, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.